あばばー。今日はこんなんしかでません。
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「えー、中東が、とんでもないことになっている今日この頃ではありますが、平和ぼけの日本では、学生と企業が今日も茶番を繰り返しております。東京HogeHoge通信の名古屋が、謹んでこの状況をお伝えし、世界にこの平和な、しかし当人たちは深刻かつ不安な状況をレポートいたします」では、記事、送信いたします。
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<就活を巡る諸問題>
就職氷河期と言われて久しい。大学三年生は、翌々年の卒業を控え、その後の落ち着き先を確保すべく、精力的に、また懸命に活動を繰り広げる。
卒業しても職を得られない可能性がある、という恐怖をマスコミのニュースがあおり立てる。就職活動、俗にシューカツと呼ばれる年中行事は、将来をかけたいす取りゲームの様相を呈している。
2011年4月卒業予定者の2010年末の内定獲得状況は69%。これが、2011年4月1日になると、例年通りなら90%程度。ひょっとすると今年は90%を若干下回り、紙面に史上最悪の見出しが躍るようになることも予想される。( http://bit.ly/gKv0Yw )。
有効求人倍率は1倍少しであるから、職はないわけではないし、実際90%が就職の切符を手にすることになる。就活浪人で留年する学生がいたとしても、それは必ずしもどこも決まらなかったからそうなったわけではなく、「もっといいところ」を目指して残っている可能性もある。
就職の人気ランキングを見ると、「安定」「業界上位」を理由としたリストがずらりと並ぶ。
調査対象の大学が、入試の偏差値でみると上位の大学であることと、彼らが目指すいわゆる大企業の有効求人倍率は、0.4とかなり厳しいことは確かだ。つまりは、「上位校の大学生が、人気企業の新卒正社員を目指して必死になっている」様子が、マスコミが描く就職氷河期の実像だと言えよう。
安定志向とはいえ、人気のあるそして業界上位の規模の大きい企業は、単に人気があると言うだけで安定しているという保証はどこにもない。事実、破綻を来したJALも、2009年でさえ、順位を大幅に落としたとはいえ63位であり、前年の2008年には23位、さらに前年の2007年にはANAの27位に続く28位だったのである。まさしく寄らば大樹の当てずっぽうでしかない。
これだけ大量の情報を迅速にシェアできる環境にありながら、学生たちは「大きくて以前から人気のある会社」という以外の選択基準を持ち得ていない。そして、就職が依然「就社」という終身雇用システムの名残りを引きずったものであることも、また事実である。
この会社選びの基準は、学生たちは自分たちの幸福論のキーワードに「安定」や「安泰」を据えていることを意味する。安定、は変化を嫌う言葉でもある。
しかし、企業をとりまく環境は、変化の波が押し寄せている。とりわけ日本の大企業は、グローバルな競争に晒されるなかで、リスクを負うことなしに生き残れない状況に追い込まれている。
可能性の高い若者に職業的な訓練を施し、若年の間は給料を低く抑え、戦力になってから賃上げをして、会社への忠誠心の高い社員を安定的に確保するという終身雇用システムは、会社のサイズや適材の配置に柔軟さを欠くことから、すでに破綻を来しつつある。
各企業に求められているのは、その時々に必要な人材を必要なだけ確保できることである。その時々に必要な人材とは、当該のビジネスユニットですぐさま課題解決にあたれる人、すなわち即戦力となりうるプロフェッショナルである。
中途採用とレイオフが柔軟に行える、つまりは流動性のある人材市場を前提とした雇用環境の整備こそが、日本の企業の競争力向上に求められている要件である。しかし、そうした雇用環境の整備はまだまだ遅れている。もちろん、各企業も、正社員の放出が困難な状況の中で、自社の人材の再教育などを通じてなんとか対応をしている。
大企業の新卒の雇用減は単に不況のみならず、そうした人的資源の確保と活用のための、これからのシステム整備に向けて、従来型の新卒一括採用からの脱却を準備しつつあることを反映しているとも考えられる。
大学も企業も学生も、一部を除いて、卒業後入社して程なく活躍できる専門的な能力が身についているとは考えていない。
今のシューカツの本質的な問題は、職業能力を身につけていないことを自覚している大学生が、即戦力(もしくは促成栽培可能な人材)を求めはじめた企業に対して、その企業への貢献可能性、熱意、意欲をアピールしなければならず、また企業も終身雇用を保証できない中で、短期的将来価値を前提とした「少しでも優秀な学生」を、評価基準を探りつつリスクを冒して採用するという、ややもすると納得感の薄いマッチングになることにある。
就活、そしてその後の就職における学生の不安は、幾重にもわたっている。まずは、それまでに経験したことのない目的的組織に帰属すること。職業適性と職業能力の獲得可能性に関する不安。その企業の安定性・持続可能性。将来キャリアアップをどのような形で行ってゆくか等々。
こうした大いなる不安に対して、職場における管理職的立場にある人や企業そのものが新社会人の将来モデルを提示し得ないのも、また大きな問題点の一つである。
本質的な問題には、根本的な対応をとることが、基本的に必要になってくる。
一つは、労働市場の整備。これは法整備を含めた市場の整備が必要になる。
続いて、各企業の雇用・賃金モデルの再構成、とりわけ年功以外の能力に応じた報酬体系。社内教育体制の整備強化。インターン制度の創設と整備。
高等教育における専門知識の習得体制。例えばマーケティングや会計など。
就職時の能力評価システムの再構築。インターンや推薦状などの複合的手法。