2011年3月2日水曜日

シューカツのもう一つの顔、ヒューリスティックな会社選びと青い鳥症候群

ぶぶぶんぶんぶん。今日はこれだい。

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   「えー、先般お伝えいたしました、平和日本のシューカツ祭り。本日は、ツイッター界隈でぶいぶいい言わしている韜晦大学教授、丑田罪餡先生のツイートをとぎゃりました。先生はまだまだ続くといっておられますが、いつ終わるかは神のみぞ知るということでご寛恕のほど願い上げます」

1. 中学から高校まで、学生は偏差値を基準に選抜を受けてきた。一元的な数字によって自分の立ち位置がはっきりとしていた。

2. 就活は、偏差値以外の測度で自分が選ばれる初めての大舞台といってよい。どの学部のどの学科が偏差値いくつ、という基準は企業にはなく、したがって「順序」が大きな意味を持たない。

3. 学生の当惑は、そこに由来する。TOEIC何点とれているか、が唯一自分の「英語」での立ち位置を証明してくれるものだ。それ以外の評価に晒されることは、予測できないがゆえに不安をもたらす。

4. 偏差値のもたらす最大の弊害は、ものごとは何でも順序尺度、あるいはベル型カーブで表現できるような一定の確率分布に置き換えられるという無意識の信仰を産むことである。

5. しかし就活は「職業に就く」のが本筋で、会社に就くわけではない。しかし、学生も企業の人事担当者も、基本的には「就社」を前提としている。

6. 会社にもきっと序列があるはずだ、と考えるとどの分野、どの職業という選択肢の他に、会社の偏差値を知らず知らずのうちに探していることになりはしまいか

7. 公表されていない偏差値を人気という尺度に置き換える。そうした一元的企業の序列をもとめるのが今の学生達だ。だから、三菱と三井の両方受けても、何の抵抗も感じない。

8. 専門性と判断基準の希薄な学生達は、選択の方法として「人気」というバロメーターにすがる。外資のコンサルタントが終わり金融が終わると、次は商社、そしてマスコミなどと「業界偏差値」を基準として節操なく次から次へと受ける。

9. 従って、一つ内定をもらったからといってそこで打ち止めにはならない。とにかく粘る。少しでも「いいところ」を狙うからだ。ベストに出会えるまであきらめない。

10. 人も企業も能力も性格もすべてに序列がある、という思想があるから、一番にたどり着くまでは諦めきれない。青い鳥症候群がこうして拡散する。

11. 青い鳥症候群は、お見合いを繰り返して、結局誰かに決めきれないことにも現れるが、企業の場合は、内定式などという終わりの期日が設定されているから、その時点での一番を選ぶことになる。

12. 本来比較不能なものを敢えて比較できるはずだ、という思い込みは、今の日本に蔓延するランキング好きと軌を一にする。やや踏み込んで言えば、「ランキング病」である。

13. ランキング好き、もしくはランキング病の背後にあるのは、「終わりを求めるキモチ」だ。際限のない青い鳥探しを、ランキングというすでに「一番探しの決着」がついたものが救ってくれるのだ。

14. ランキング病のもう一つの側面は、評価の外部化である。評価のアウトソーシングといってもいい。自分で決めることに自信がないことの現れ、とも言える

15. シューカツに話を戻して、採用する側からみても、初期の篩い分けとして学生の偏差値的側面を見る。拠り所はTOEICWEBテスト、そしてそれをある程度保証する卒業大学のランキングだ。

16. 就職は本来「試験」ではない。試験の要素があるとして、それは点数のつく部分だけである。学生はそれを勘違いして「落ちた」などという。

17. こうした幻想に乗っかって商売する「就職業界」は、就職偏差値のようは一元的な評価基準があるという前提で、学生に接する。それが繁盛のコツだ。

18. 魚心あれば水心。ESの書き方、強みのアピールの仕方、面接の仕方。何から何まで「うまく乗り切る」方法を偏差値の幻想に乗せて指南する。 (まだまだ続く)

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